和をテーマにつくられた
香りのブランド『J-Scent』が、
目には見えない「香り」の新たな捉え方を
模索するプロジェクトです。
心の赴くままに表現した五感に響くアート作品、
日本の文化を通して、
J-Scentの世界をお楽しみください。
omoimegurasu祐による映像作品。
黒革の香りを纏った京扇子を用いて和を表現。
J-Scent『黒革』の香りを元に
omoimegurasuが最新曲を書き下ろし。
香りから楽曲を制作するのはomoimegurasuとして初でしたが、音と香りの関係性について新たな発見もあり、とても貴重な体験となりました。黒革のもつ妖しくスモーキーな魅力をVo.祐の低音成分のザラつきと伸びのある深いリバーブでイメージ、そこから徐々に姿を現す"気品・艶感"をキックとベースの輪郭の変化で表現しています。ジャケットデザインもそんな音作りの流れを具現化するイメージで制作しています。
omoimegurasuの2人がつくる『黒革』の世界。
「香り」を楽曲・映像で表現するという
新しい試みについて振り返ってもらった制作者として・
表現者として思い巡らせ、2人だけで完成させていく作品。
どのような過程を経て『黒革』は完成したのだろうか。
J-Scent
ナンリ:楽曲に関しては、サウンドの原型はすぐに決まりましたが、トップノートからラストノートまでの香りのストーリー性を音で表現したかったので、そこから何度も立ち返ってブラッシュアップ作業を行いました。
祐:映像はやりたい事を詰め込めたので、全く苦労していません(笑)
祐:自分たちで思っていた以上に多くの方から「香水とのタイアップが似合う」と反響頂きました。
祐:今回は「香水とタイアップ!?」という見慣れない見出しだったので、SNSではファンの方だけでなくアーティスト仲間や映像関係者も拡散してくれて有り難く思います。インディーズで活動していると自分たち発信のニュースやお知らせがいつも同じ様な物ばかりになり、ファンの方も共演者も驚く事が少ないので。今回の企画は「!?」という気持ちになったと思います。
祐:一般的に、一曲を表に出すにはアーティスト以外に沢山の人が関わります。MVやグッズなどを含めたら、更に沢山です。私たちはそれらをほぼ2人で行います。制作の責任や保証をしてくれる人がいない事で、逆に、私たちは最大限自由に表現できるようになりました。 2人のみでアイデア出し、コンセプトを決め、Goを出す。そこに止める人がいない状態は時に「エゴ」と呼ばれますが、「omoimegurasuとしての表現の純度」が最高値であるという褒め言葉として取ることにしました。
祐:まず2人でテーマを決めます。それを元にナンリ君は曲を作り、私は私でテーマについて思うことをパソコンに向かいつらつらと取り留めなく書いていきます。そして、曲が出来たらパズルの様にリズムよく言葉を当てはめていきます。
『黒革』はレザー、ムスク、ジャスミンなど香りを調べ、その妖艶な香りから言葉を書き進めました。
祐:私の歌詞はわかりやすいストーリーものではなく、この瞬間瞬間で私の脳の思考回路を表す様な、言葉や情景が飛び飛びになっています。常日頃から考え事をするのが大好きなので、言葉に詰まる事はほとんどありません。また、リズムよく発生した時の歌い心地も考えるようになりました。黒革も同じく大サビの歌い心地を特に大事にしました。
祐:「誰かの代弁者」や「共感」を狙って書くことはゼロにしています。私自身が自己中心的で奔放な性格と生活をしているので。 思ったまま書いた言葉に、聴き手が想い廻らせて自身の中に落とし込んでくれるのはとても嬉しいです。特に好いてくれるファンの方は共感より「共鳴」してくれているんだと思っています。
祐:共謀だって 真っ黒ったって
追う浪漫無くて 勝手に去った
「冗談だ」って 滑稽な貴様
安堵感待ってて 何様?
是非口に出してみてください、口先が楽しいので。
ナンリ:香水を香った際に体が感じる”空気の流れ”が伝わるような作品にしたいと思いました。
音の広がりや残響感を出すにはリバーブという効果を使うのですが、それぞれの楽器に対して、音の伸び/響きの深さ/空間の大きさを細かく調整して、自分が黒革の香りを体感した時の印象に近い空気感を表現しました。
ナンリ:今回の曲はほとんどのセクションでボーカルの声色を幾つも重ね合わせて作っています。 同じメロディラインでも強く張った声、息混じりの声、裏声、低い声など、いろんなカラーの声のどれを採用してどの割合で混ぜ合わせるか、微妙な調整で曲の印象もガラッと変わるので、今流れているボーカルの声がどんな掛け合わせかたをしているのか、想像しながら聴いてみると面白いかなと思います。
また、omoimegurasuは“夜に浸るポップス”というものテーマにしているので、是非、“夜の静かな場所を散歩しながらでイヤホンで”聴いていただきたいです。
同じイヤホンから流れる音でも、すっきりと開けている場所や、暗く静まり返った場所、冷たくて澄んでいる冬の空気等、“聴く”という行為は他の五感からの影響をかなり受けるので、聴く場所を選ぶだけで音の景色がぐっと広がって聴こえると思います。
ナンリ:香った第一印象として”妖艶”,”気品”というキーワードが浮かんだので、ある程度感覚で作った曲の土台に言葉をエッセンスとして肉づけてしています。 歌詞に関しても祐さんとあらかじめキーワードを共有して書いてもらいました。
ナンリ:部屋で籠りっぱなしだと何も思いつかないタイプなので、基本は外を散歩しながら頭の中で作ります。出来るまでひたすら歩く。制作する時間帯は夜~朝方が多いです。
ぼんやり曲全体の雰囲気が頭で出来上がったら、家に帰って頭で流れている音をシンセサイザーやギターを使って音にします。
煮詰まってきたら一旦スマホに落としてまた外に出て、イヤホンで延々とリピートしながら案を練る。完成するまでその繰り返しです。
ナンリ:曲のコード進行とメロディを決定する部分が”作曲”にあたるので、大まかに言えばそれ以外はほとんど「アレンジ」という工程です。
具体的には、「どんな楽器を使うか」「音色をどうするか(柔らかい、乾いた、広がりがある、冷たいetc)」「どんな奏法を使うか」「このセクションではどの楽器が主役か」等、とても幅広いです。
また音の世界にも”空間”があります。聴感上、音程の高い楽器は上、低い楽器は下で響きますし、スピーカー(イヤホン)にはLとRがあり、近い・遠いという奥行きの関係もあるので、上下左右前後のどの辺りにどの楽器を置くかという計算的な要素も合わせつつ、聴く側が「これは面白い!!」と思ってもらえるような発想力も必要な作業です。
ナンリ:omoimegurasuでは「環境音」もよく使っています。換気扇の音だったり、紙を引き裂く音、鉛筆で文字を書く音等。 今回の『黒革』では、曲の終盤に左右にチカチカっと断続的になっている音が聴こえてくるのですが、あれはギターのジャックを引き抜いた時に出るジーというノイズをマイクで収音して、音の波形をバラバラに切り刻んで配置しています。そういった“楽器ではない音”も、素材として活用できるのがアレンジの面白いところです。
ナンリ:30時間程度です。
ナンリ:自宅でギターと鍵盤系を2時間、スタジオでの歌録りを2時間かけて行うことが多く、『黒革』も同じくらいでした。
ナンリ:ボーカルのレコーディングは時間を決めて淡々と録っています。時間をかけ過ぎると喉に負担がかかるので『はい、次ー。』みたいな感じで。(祐さんほとんどミスしないのでスムーズです)
ナンリ:トップノートのレザーの奥に漂うミドルノートのタバコの紫煙、その煙に纏う青みの強い紫でラストノートの落ち着きのある妖艶さを表現しています。
ナンリ:Adobe Photoshop です。レザーは自分が所有している革製品を撮影して素材にしました。
祐:白を羽織ります。歌う時が一番素直で真っさらな自分でいたいと思うので。またライブ会場での映像投影が美しく映えるよう心がけています。
祐:今回の衣装は布とボタンを私が選び、衣装制作の友人にお任せしました。シャツなのに和も洋も感じさせる不思議な服を作って貰いました。
祐:和室を探していました。襖のデザインを見てピーンときました!
祐:外は快晴でしたが光が多く入りすぎないよう扉やカーテンで光量を調節しました。
祐:今までのMV以上に、日本舞踊の所作要素を増やしたいと思いました。和を表現するのに「和装」以外にも様々な方法があり、今作は特に指先と中腰での動きや流し目で表現しました。
祐:映画やドラマではなくミュージックビデオは音楽作品の一部なので、ならではの遊び編集を入れています。万華鏡の様なエフェクトもその一つです。
祐:香水がユニセックスという事で、真っ赤な口紅はやめました。色味も光もいつもより暗く妖艶に作り、肌の質感なども生々しく日本人の大人である事をより意識しました。
祐:3時間です。ほとんど踊っていました。最初から撮りたいイメージがあったのでどんどん撮り進めていけました。カメラマンも相性が良く、私が欲しい映像を素早く理解し撮影してくれました。
祐:踊るシーンはカメラマンがハンディで遠く/近く/足下/指先などアドリブ的に撮ってもらいました。私はひたすら踊るので“撮れ高”があるまで踊り続けました。私の日本舞踊はゆっくりとした動きなので、編集で沢山切り替えることで曲に合うスピード感を出しました。
祐:今回のカメラマンpanchi君は元々絵も描ける方なので、切り取る画角がとても美しいです。私がガチガチに決める画角だけでなくアドリブ的にお任せで撮ってもらうことで、彼の活き活きとした映像感覚が入り、編集も新鮮な気持ちで行えます。カメラマンなら誰でもいい訳ではなく、感性の合う方でないとお任せはできないです。
絵コンテ通りの監督さんが多いと思いますが、私の場合omoimegurasuは自分の自由にできるので思いついたまま取り入れたり変更したり勝手させてもらっています。
祐:歌唱シーンは音源を流しつつ小さい声で歌っています。口パクだけだと、喉の動きなどが全然違います。
祐:撮影開始するときはお部屋に入り、先ずは一番カッコいい角度や背景を決めます。今回は自然光を調整する形だったので、立ち位置に対して光の当たる方向を決め襖やカーテンで光量を調整しました。
実際に撮影する時間より画角や光を決める時間が長いです。とにかくカッコよくなるまで探します。
祐:1週間くらいですが、ザッと編集して次の日見直して少し修正して、また次の日少し編集してを繰り返しました。編集している時はハイになっていて「よし!カッコいい!」と思っちゃうので、一晩寝て朝冷静に観ても良いと思うか確認します。
祐:障子の向こう側での手、扇子をひらくスロー、流し目のどアップに注目して観ていただきたいです。どれも幼少期から習った日本舞踊の中で使う動きです。ふとした瞬間に和を感じて欲しいです。
ナンリ:楽曲に関しては、サウンドの原型はすぐに決まりましたが、トップノートからラストノートまでの香りのストーリー性を音で表現したかったので、そこから何度も立ち返ってブラッシュアップ作業を行いました。
祐:映像はやりたい事を詰め込めたので、全く苦労していません(笑)
祐:自分たちで思っていた以上に多くの方から「香水とのタイアップが似合う」と反響頂きました。
祐:今回は「香水とタイアップ!?」という見慣れない見出しだったので、SNSではファンの方だけでなくアーティスト仲間や映像関係者も拡散してくれて有り難く思います。インディーズで活動していると自分たち発信のニュースやお知らせがいつも同じ様な物ばかりになり、ファンの方も共演者も驚く事が少ないので。今回の企画は「!?」という気持ちになったと思います。
祐:一般的に、一曲を表に出すにはアーティスト以外に沢山の人が関わります。MVやグッズなどを含めたら、更に沢山です。私たちはそれらをほぼ2人で行います。制作の責任や保証をしてくれる人がいない事で、逆に、私たちは最大限自由に表現できるようになりました。 2人のみでアイデア出し、コンセプトを決め、Goを出す。そこに止める人がいない状態は時に「エゴ」と呼ばれますが、「omoimegurasuとしての表現の純度」が最高値であるという褒め言葉として取ることにしました。